両作を繋ぐもう一つの重要な要素は、メディアミックスにおける緻密なテンポ設計とキャストの演技力だ。『ドラえもん』の歴史が証明してきたように、ギャグアニメの生命線はツッコミの切れ味と間(ま)の取り方にある。
『魔王城でおやすみ』のアニメーション制作を手掛けた動画工房の演出は、古典的なスラップスティック・コメディの作法を極めて高いレベルで現代に昇華させている。スヤリス姫役の水瀬いのりによる、可憐でありながら狂気を孕んだボイスパフォーマンス。そして魔王タソガレや魔導士らの慌ただしいリアクション。この掛け合いの心地よさは、長年『ドラえもん』のテレビシリーズが磨き上げてきた「子どもから大人まで一瞬で状況を理解できるギャグの黄金律」と見事に共鳴している。