外殻を割り、吸水を完了させた仁を確実に目覚めさせる中核プロセスが、人工的な冬を疑似体験させる桃の種休眠打破の方法、すなわち「湿潤低温処理(チルリング処理)」です。この工程を経ることで、種子内部のアブシシン酸が分解され、成長を促進するジベレリンの生合成が始まります。
具体的な桃の種冷蔵庫低温処理の手順は極めてシンプルながら、衛生管理の正確さが成否を分けます。水道水で湿らせて固く絞ったキッチンペーパーを用意し、薄皮を剥いた仁を重ならないように包みます。これを清潔なジッパー付き保存袋に入れ、乾燥を防ぐために軽く密閉した状態で1℃〜5℃に保たれた冷蔵室(または野菜室)へ収容します。凍結してしまう冷凍室や温度が下がりすぎるチルド室の吹き出し口付近は、細胞を破壊するため厳禁です。
気になる桃の種発芽日数と期間ですが、低温環境下で休眠が解除されるまでには概ね60日〜90日間(約1000時間以上)の連続した低温積算が必要です。早ければ45日を過ぎたあたりから白い幼根がペーパーを突き破るように動き出します。冷蔵庫内での保管中は、週に1回程度袋を開けて酸素を入れ替え、ペーパーの湿度をチェックします。もしカビの胞子が付着して黒ずみや異臭が見られた場合は、すぐに取り出して薄い水道水で優しく洗い流し、新しいペーパーに取り替えるメンテナンスを怠らないことが肝要です。
冷蔵庫内で約1〜2cmほどの健康な根が伸びてきた段階で、屋外の土や鉢へ移行する準備が整います。この段階で透明な容器とハイドロカルチャー用培地を活用した桃の種水耕栽培手順へ移行すれば、発根と発芽のダイナミックな展開を卓上インテリアとして観察しながら育てることも可能です。水耕栽培を行う際は、種子の全体を水没させず、伸びた根の先端のみが水に触れる水位を維持し、根腐れを防止する珪酸塩白土を少量沈めておくのがセオリーです。