『おでんくん』の舞台は、東京タワーのふもとにある小さな屋台のおでん鍋の底に広がる不思議な世界「おでん村」です。鍋の蓋が閉まっている間、おでん種たちは言葉を交わし、恋をし、悩みを抱えながら平和に暮らしています。
この作品が唯一無二の魅力を放つ最大の理由は、マルチタレントであり作家のリリー・フランキー氏による原作絵本がベースになっている点にあります。単なる子ども向けファンタジーにとどまらず、社会の不条理や人間の弱さ、哀愁が絶妙なバランスで描かれており、屋台のおじさんがおでんを買いに来た客に具材を差し出す瞬間、おでん村の住人は「選ばれて食べられる」という形で旅立っていく仕組みになっています。