西田健の俳優人生は、名門劇団での過酷な鍛錬から幕を開けました。1945年5月1日生まれの西田は、早稲田大学を中退後、本格的に演劇の道を志して名門「劇団雲」の研究所に入所。芥川比呂志や福田恆存といった演劇界の巨頭たちの薫陶を受け、確かな発声法と論理的な演技理論を徹底的に叩き込まれました。その後、劇団の分裂を経て「演劇集団 円」の創設メンバーとしても活動しています。
そんな本格派舞台俳優としての下地を持つ西田健が、お茶の間の知名度を一気に高めた記念碑的作品が、1971年放送の特撮ドラマ『帰ってきたウルトラマン』です。西田が演じたMAT(怪獣特別攻撃隊)の岸田文夫隊員は、名門軍人家系の出身でプライドが高く、主人公の郷秀樹(団時朗)としばしば衝突するエリート隊員でした。
単なる嫌味なライバルにとどまらず、自らの過ちを認めて成長し、郷との間に強固な友情と信頼関係を築き上げていくプロセスを西田は見事に演じ切りました。端正なルックスと知性あふれる佇まいは、当時の子どもたちだけでなく大人の視聴者層をも魅了し、昭和特撮史に残る名キャラクターとして今も語り継がれています。