ギターを始めたばかりのプレイヤーの間では、「夜明けと蛍はイントロで指がもつれて止まる」「初心者には難しすぎる」という声が知恵袋やSNSで散見されます。しかし、夜明けと蛍のギター演奏における初心者難易度を音楽理論的・身体操作的に冷静に分析すると、決して乗り越えられない難曲ではありません。
多くの入門者がこの楽曲で壁にぶつかる最大の原因は、コードチェンジの速度ではなく「16分音符のアルペジオにおける右手のバタつき」にあります。テンポはおおよそBPM 72前後とミディアムスローですが、テンポが遅いからこそ音の粒立ちや途切れが如実に目立ってしまい、演奏がぎこちなく聞こえてしまうのです。
それでも夜明けと蛍がギター初心者に挫折しない理由として強く推される背景には、左手の構造的な易しさが挙げられます。初心者の最大の関門とされるFコード(人差し指全セーハ)を押さえる必要がなく、親指をネックの上に回して6弦1フレット(実音2フレット)を押さえるか、あるいは1弦・6弦をミュートした「FM7」フォームで代用しても楽曲の世界観をまったく損なわない設計になっているためです。
「バレーコードで指が痛くなって諦めた」という挫折体験を持つプレイヤーにとって、指先の脱力を維持しながらコードフォームを滑らかに移行するトレーニング教材として、本作は極めて優れた教育的側面を備えています。