ネット上の掲示板やSNSでは、家賃補助制度の利便性を称賛する声がある一方で、申請窓口での過酷なやり取りに対する嘆きも散見されます。当事者たちの生の声から、制度の運用実態を検証します。
都内のIT企業に勤務していたものの、体調不良による休職から給与が激減した30代男性の手記には、制度のありがたみと同時に精神的な摩耗が綴られています。
「収入が途絶えかけ、住居確保給付金の相談に福祉窓口へ向かいました。結果的に家賃上限の約5万3,000円を3か月間支給してもらい路上生活は回避できましたが、通帳の全ページコピー、過去の給与明細、賃貸契約書の特約条項の確認、さらにはハローワークでの定期的な職業相談の義務づけなど、揃えるべき書類の膨大さと精神的プレッシャーは想像を絶するものでした。恥を捨てて相談できるメンタルがなければ途中で挫折していたはずです」
また、自治体の独自助成を利用しようとした20代女性からは、賃貸借契約の慣習に阻まれた体験談が寄せられています。
「区の家賃助成に応募して当選したのですが、申請条件に『家主(大家)の承諾書』の提出が含まれていました。管理会社を通じて大家さんに書類の記入をお願いしたところ、『公的支援を受けるような入居者は困る、契約更新時に退去してほしい』と露骨に難色を示され、結局補助の申請を断念せざるを得ませんでした」
制度自体は存在していても、大家や管理会社の無理解、あるいは申請手続きの過度な煩雑さが、困窮する生活者の前に「見えない壁」として立ちはだかっている現場の歪みは看過できません。