本作の根底を支えるのは、現代日本を代表する二大クリエイターの邂逅だ。人間の機微を会話の隙間に滑り込ませる名手・坂元裕二が脚本を手掛け、是枝裕和がクリエイティブ監修として映像の温度感をコントロールする。この夢の布陣を実現させたのは、長年にわたり良質なエンターテインメントを競い合ってきたフジテレビジョンと東宝の異例とも言える共同製作体制だった。
商業性と作家性のせめぎ合いが生む緊張感は、画面の隅々にまで宿っている。派手な事件や過剰な劇伴に頼ることなく、包丁がまな板を叩く乾いた音や、登場人物が小さく漏らすため息だけで感情の起伏を描き切る。日本のテレビドラマが長年培ってきたリアリズムの極致が、ここにある。