平滝夜叉丸のパーソナリティを語る上で避けて通れないのが、極度のうぬぼれと自己愛です。自身を「美貌と実力を兼ね備えた天才忍者」と称して憚らず、後輩の乱太郎、きり丸、しんべヱを捕まえては延々と自慢話を聞かせる姿はおなじみの光景となっています。しかし、視聴者やファンが彼に対して抱く印象は、単なる「迷惑な先輩」にとどまりません。
彼が根強い人気を誇り、「かっこいい」と絶賛される最大の根拠は、自ら掲げた大口を現実に裏付ける凄まじい鍛錬量と技術にあります。作中の描写を丹念に追うと、夜叉丸は自身の能力を誇示する裏で、誰よりも自主鍛錬を怠らない努力家であることが分かります。朝駆けの鍛錬や深夜の素振りなど、自身の美学を成立させるためのコストを一切惜しまないストイックさこそが、彼のプライドを支えるバックボーンです。
また、乱太郎たち下級生がトラブルに巻き込まれた際、文句を言いながらも最前線に立って戦棍を振るい、後輩を庇う武士道精神を持ち合わせています。傲慢に見える言動の内側に、確固たる責任感と面倒見の良さが同居しているギャップが、読者や視聴者の心を強く惹きつけてやみません。