物語の舞台背景もまた、ファンのハードルを大きく引き上げる要因となった。本作『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』は、かつてシャア・アズナブルが地球落としを試みた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の舞台、小惑星アクシズの調査を描く物語である。さらに時間軸としては『機動戦士ガンダムUC』とも密接にリンクしており、宇宙世紀の正史を補完する重厚なドラマが当然のように期待されていた。
富野由悠季氏が打ち立てた宇宙世紀の地平において、アクシズという場所はファンにとって特別な聖域だ。元ジオン公国の兵器開発者であるアルレット・アルマージュを中心に展開する切ない追憶のストーリーは、本来であれば深い感動を呼ぶポテンシャルを秘めていた。だが、歴史的背景の重みに対してあまりにも描写が駆け足だったため、ファンが求めたドラマの深みに到達できなかったのだ。