このティーポットを語る上で欠かせないのが、創業者であり陶芸デザイナーのデヴィッド・バーチが生み出した革新的な設計哲学だ。1980年代から陶磁器デザインの最前線で活躍してきた彼が最も執着したのが、「最後まで美しく注ぎ切る」という当たり前でいて極めて困難な課題だった。
従来の陶器製ポットの多くは、注ぎ終わりに表面張力によって液体が外壁を伝い落ち、テーブルやソーサーを濡らしてしまう欠点があった。デヴィッド・バーチは注ぎ口の先端に絶妙な角度と切り込みを施すことで、水の切れ味を劇的に向上させた。急な角度で傾けても流速が安定し、最後のひと滴までピタリと切れる。優雅なアフタヌーンティーの席で、拭き取る手間も気兼ねもいらない安心感こそが、目の肥えた紅茶愛好家から選ばれ続ける最大の理由である。