市原悦子さんの人生を語る上で欠かせないのが、夫であり舞台演出家として活躍した塩見哲(しおみ さとし)さんの存在です。二人は劇団俳優座の同期として出会い、1961年に結婚。半世紀以上にわたり、公私ともに支え合うおしどり夫婦として知られていました。
しかし、2014年4月、夫の塩見さんが肺がんなどのため79歳で先立たれます。子どもがいなかった市原さんにとって、塩見さんは人生のすべてであり、最大の理解者でした。最愛の夫を失った精神的ショックは計り知れず、周囲に対して「早く夫のところへ行きたい」と漏らすほどの深い喪失感を抱えていた時期もありました。
夫の他界からわずか2年半後に自身が自己免疫性脊髄炎を発症した背景には、長年の看病による心身の疲労と、最愛の伴侶を失ったことによる免疫力の低下も影響していたのではないかと関係者の間で語られています。