人間の皮膚表面には数百種類もの微生物が存在している。これらは「皮膚常在菌」と呼ばれ、肌の健康を保つバリア機能を担っているが、種類や配置のバランスは人によって千差万別だ。最新の研究で判明したのは、この常在菌が皮脂や汗に含まれる成分を分解する際に生じる代謝物質が、蚊を強力に誘引しているという事実である。
足の裏は汗腺が集中しており、1日でコップ1杯分もの汗をかく。靴や靴下に包まれた密閉空間は菌にとって絶好の繁殖温床となり、独特の脂肪酸や化合物を生成する。これが空中に拡散すると、蚊の触角に存在する匂いセンサーをダイレクトに刺激し、執拗な吸血行動へと駆り立てるスイッチが入るのだ。