日本の伝統的な蟹料理では、甲羅焼きのように直火で芳ばしさを引き出す技法が知られている。この「火入れによる芳香」をパスタ作りに応用することが成功の秘密だ。蟹味噌をソースに溶かす前、フライパンのフチで少し焦がすように焼き付けることで、香ばしさが格段に増す。
ここにイタリア料理の基本である「乳化」を組み合わせる。ゆで汁に含まれる小麦粉のデンプンと、オリーブオイル・バターの油脂を勢いよく混ぜ合わせることで、ソースがパスタにしっかりと絡みつく。蟹味噌の持つ濃厚な旨味が麺の一本一本を覆い尽くし、噛むたびに溢れる極上の味わいが完成する。