2015年シーズン終了後、中日ドラゴンズから戦力外通告を受けた川上憲伸は、すぐには引退を発表しませんでした。右肩の治療とリハビリを続けながら独自に現役続行の道を模索し、独立リーグや他球団からのオファーを待つ姿勢を維持していました。
しかし、2017年3月、テレビの中継特番において現役引退を正式に表明。華々しい引退試合やセレモニーを行わず、静かにマウンドを去る決断を下しました。その引退理由の真相は、長年にわたり酷使し続けた「右肩の器質的限界」でした。
度重なる石灰沈着や神経痛、関節包の損傷により、全力で腕を振ると激痛が走り、自らが納得できる球速やキレを再現することが不可能な状態に達していました。「ボールを投げること自体が苦痛であり、プロのマウンドで打者と真剣勝負ができるレベルに戻らない」という冷厳な現実を自覚したとき、引き際を受け入れたと後に振り返っています。妥協した姿でマウンドに上がり続けることを良しとしない、超一流投手ならではの引き際でした。