命や身体の危機を10代前半で経験したことは、女優・芳根京子としての表現力に計り知れない深みを与えている。スカウトをきっかけに芸能界へ足を踏み入れた後、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインをはじめ、数々の難役に挑み続けてきた彼女の根底には、あの闘病体験が深く息づいている。
「命があること、息をして芝居ができること自体が奇跡」。そう語る彼女のスタンスは、一回一回の撮影現場に対する鬼気迫る集中力となって表れている。役柄の痛みに深く寄り添い、観客の心の琴線に触れる繊細かつ力強い演技ができるのは、自らが「当たり前の日常が崩れ去る恐怖」を体験として知っているからにほかならない。