この極秘構想の鍵を握るのが、急速に普及した動画配信プラットフォームとの直接連動である。地上波テレビのリアルタイム視聴からコネクテッドTVへと生活者のアテンションが移行するなか、TVerによる見逃し配信やNetflixをはじめとするグローバルSVODサービスは、広告表現にとっても主戦場となった。
しかし、現在の配信広告の多くは、旧来のテレビCMをそのままデジタルフォーマットに当てはめたものに過ぎない。スキップされること、あるいは鬱陶しがられることを前提とした配信手法に対し、佐々木のアプローチは真っ向から対立する。「観客を惹きつけて離さない圧倒的な映像体験そのものをブランドにする」という思想だ。Netflixのような世界基準のプラットフォームで流通するオリジナル長編作品でありながら、同時に特定カルチャーや企業の思想的バックボーンを体現する。境界線を溶かし去るこのハイブリッド戦略は、広告枠の売買に依存してきた既存のビジネスモデルに強烈な一石を投じることになる。