特に悪質なのが、「がん細胞は酸性の環境を好むため、重曹でアルカリ性にすればがんが消滅する」という主張だ。がん患者やその家族の藁にもすがる思いを利用したこのデマは、医療現場にも深刻な混乱をもたらしている。
確かに、がん組織の周囲が微酸性を示すことは研究で知られている。しかし、それはがん細胞の代謝の結果として生じる現象であり、原因ではない。口から重曹を摂取したところで、がん組織の局所的なpHをコントロールすることは不可能だ。標準治療を拒否し、重曹水に頼った結果、手遅れになるケースも報告されている。医療従事者たちは「根拠のない代替療法に命を委ねないでほしい」と強く訴えている。