たい焼きファンの間で語られる「天然モノ」と「養殖モノ」という言葉をご存じでしょうか。一度に何十匹もまとめて焼き上げる大型の鉄板プレートを使ったものが「養殖」と呼ばれるのに対し、「天然たいやき」は専用の鋳型を使って職人が1匹ずつ手作業で焼き上げるものを指します。鳴門鯛焼本舗が誇る最大のアイデンティティが、この伝統技法である「一丁焼き」です。
一丁焼きで使われる鋳型は、柄を含めると1丁あたり約2キログラムもの重量があります。職人はこの重い焼き型をリズミカルに返し、直火の強火で一気に焼き上げます。鉄型全体に均一な高熱を行き渡らせることで、生地の余分な水分が瞬時に蒸発し、皮の厚みがわずかミリ単位という驚異的な薄さと軽快なクリスピー食感が生まれるのです。
皮が極めて薄いため、一口目からダイレクトに上質な餡の風味が広がります。「頭から尻尾までしっかり餡が入っている」というたい焼きの理想形を、職人の熟練技が見事に体現しています。