本作のルーツは、漫画家・いましろたかしが2006年から2007年にかけて講談社の児童漫画誌『コミックボンボン』で連載していた同名漫画です。原作コミックは全1巻(後に講談社KCデラックス等で刊行)で完結しており、いましろ作品特有の乾いたユーモア、オフビートな日常、社会の周縁で生きる哀愁が全開となった伝説的なカルト作でした。なお、映画公開に合わせて2026年には約17年ぶりの続編となる『化け猫あんずちゃん 風雲編』の連載がスタートしたことも大きな話題を呼びました。
映画版の制作にあたり、脚本を手掛けた山下敦弘監督と脚本家のいまおかしんじは、原作の持つ脱力感やギャグの切れ味を損なうことなく、90分の長編商業映画として成立させるための大胆な構造改革を行いました。その最大の違いが、オリジナル要素である「少女・かりんの存在」と「地獄巡りのドラマツルギー」の導入です。
原作ファンの中には当初「かりんという少女を主役に据えることで、いましろ作品の毒気が薄まるのではないか」という懸念もありました。しかし完成した映画は、いましろたかし特有の「世の中を斜めに見つめつつもどこか温かい」哲学を完璧に継承しており、原作者自身も手放しで絶賛する見事な映画的昇華を成し遂げています。