物語のクライマックス、命を懸けた最後の戦いが幕を閉じた瞬間、隠されていた最大の秘密が明かされる。主人公が信じ続けてきた「師の教え」と「命の恩人」の正体——それこそが、作品全体を覆っていた最大の仕掛けだった。長年ライバル関係にあった敵方の首領こそが、幼少期に主人公の命を救い、影から守り続けていた実の兄だったという衝撃の事実が発覚する。
最期の瞬間、刀を交えながら交わされたわずかな視線と、風に乗って運ばれてきた沈丁花の香り。兄は弟の成長を確かめ、自ら悪役を買って出ることで弟を新しい時代の英雄へと押し上げたのだ。切なくも美しい兄弟の絆が明かされたラスト数分間、劇場内は深い静寂とすすり泣く声に包まれた。救いと哀愁が同居するこのラストシーンこそ、本作が歴史に残る傑作と評される理由である。