この熱狂をドライブした要因として、デジタルメディアの存在を無視することはできない。Instagramのフィードを埋め尽くす鮮やかなエメラルドグリーンのヴィジュアルは、視覚的なインパクトを武器に国境を越えて拡散された。茶筅で点てる所作や、白いミルクに濃厚な緑のエスプレッソが混ざり合うグラデーション動画は、それ自体が完成されたエンターテインメントとして消費者のタイムラインを刺激する。
しかし、見た目だけの店舗は急速に淘汰されているのも事実だ。食べログをはじめとするレビュープラットフォームでは、茶葉の産地表記や抽出技術、後味のキレといった本質的なクオリティが厳密に評価されるようになった。「映え」を入り口として集まった顧客が、次第に茶の品質の違いを舌で理解し、より本格的な体験を求めて名店を巡るという成熟したサイクルが確立されている。