日本テレビ放送網の看板長寿番組『笑点』において、六代目三遊亭円楽さんが果たした役割は唯一無二だった。前名である三遊亭楽太郎の時代から四十余年、大喜利の舞台で繰り広げられた終生のライバル・桂歌丸さんとの舌戦。あれは単なる罵倒合戦などではなく、互いの信頼関係に裏打ちされた極上の「話芸プロレス」であった。
歌丸さんの容姿や体調を容赦なく弄り倒すブラックなキャラクター。だが、その根底には誰よりも歌丸さんを敬愛し、番組の屋台骨を支えようとする強烈なプロ意識が宿っていた。「腹黒」の看板を背負いながら、番組全体のテンポと空気をコントロールするコンダクター。彼が座布団の上にいたからこそ、隣の回答者たちも存分に個性を爆発させることができたのだ。