多くの競馬ファンが陥りがちな最大の誤解は、「最内枠(1枠1番)を引いた逃げ馬は鉄板である」という先入観です。浦和1400mの形状を観察すると、4コーナー奥のポケットから発走した直後、外枠各馬が一斉に内へ殺到してポジションを取りに来ます。もし1枠の馬がゲートでわずか0.1秒でも立ち遅れれば、瞬く間に外から被せられ、砂を被る最悪のポケット位置に閉じ込められてしまいます。
近年のさきたま杯配当結果を振り返っても、1枠の人気馬が包まれて共倒れし、馬群の外目4〜5番手をスムーズに追走した中枠の伏兵が突き抜けた年ほど、オッズが大きく跳ね上がっています。
また、もう一つの盲点はさきたま杯騎手コース適性の決定的な差です。浦和のコースを知り尽くした南関東のトップジョッキーや、地方交流重賞で勝負勘を研ぎ澄ませている中央のベテラン騎手は、3コーナー手前の緩やかな下り坂を利用して早めのスパートを仕掛けます。一方で浦和での騎乗経験が浅い騎手は、JRA感覚で直線を向くまで仕掛けを待ち、結果として完全に脚を余して敗戦を喫します。騎手のコース習熟度は、馬の能力差をいとも簡単に逆転させるファクターなのです。