クラブの重低音が遠く響く深夜2時の百軒店。酔客が行き交うカオスな路地裏で、異質な静寂を纏った行列が存在する。『夜半(よわ)の月』だ。
営業時間は深夜23時から翌朝6時まで。ここで提供されるのは、丸鶏と蛤(はまぐり)のダブルスープに、京都の老舗蔵元が仕込んだ生揚げ醤油を合わせた「クラフト淡麗醤油ラーメン」である。過度な脂分を排し、塩分濃度を身体の代謝サイクルに合わせて計算し尽くしたスープは、アルコールで疲弊した胃袋に優しく染み渡る。「飲んだ後の締めは濃厚豚骨」という渋谷の長年の不文律は、今やこの洗練された淡麗系の波によって静かに書き換えられつつある。