主人公・朝倉アキオが駆る悪魔のZの心臓部は、日産の直列6気筒名機「L28型」をベースにしたフルチューンユニットです。排気量を限界近くまでボア・ストロークアップしたL28改3.1リッター仕様に、当時の最先端大容量タービン(TD06ツインターボ等)をドッキング。さらに電子制御インジェクションが未成熟だった時代背景を反映し、ソレックス50φキャブレターに強引に過給をかける「キャブターボ方式」が採用されています。
このメカニズムから絞り出される出力は、実に600馬力から最大680馬力オーバー。車重わずか1,000kg前後の軽量なフェアレディZ S30型のボディに対し、現代のスーパーカー並みの出力を叩き込みます。その結果、悪魔のZの最高速度は公称300km/h超(作中終盤では320km/h以上)に達し、料金所からのフル加速では路面に強烈なブラックマークを刻みながら異次元の加速フィールを生み出します。
しかし、この過剰なパワーこそがマシンの危険性の源泉でもありました。現代の電子制御(トラクションコントロールやABS)は一切存在せず、アクセルワークひとつでリアタイヤが即座にグリップを失うピーキーな出力特性を持っていたのです。