技術的な最大の恐怖は、飛翔軌道の複雑化にある。通常の弾道ミサイルが描くきれいな放物線ではなく、大気圏再突入後に低空で滑空・飛躍する「プルス・アップ軌道」や、マッハ5を超える速度で変形旋回する極超音速滑空兵器が実戦配備段階に入った。
既存のイージス艦に搭載された「SM-3」や地上配備型の「PAC-3」は、事前に計算された軌道を前提に設計されている。しかし、途中で軌道を変える弾頭に対しては、迎撃ミサイルの誘導能力が追いつかない。防衛関係者が口を揃えて「数で押される飽和攻撃と変形軌道の組み合わせは、現在の防衛システムにとって極めて厳しい」と漏らす背景には、こうした冷徹な物理的制約が存在する。