初心者が最初につまずきやすいのが、「指文字」と「手話単語」の違いである。一般財団法人全日本ろうあ連盟などの啓発活動でも示されている通り、指文字は五十音の音そのものを一文字ずつ指で綴る「表音文字」の役割を果たす。これに対し、独自の文法体系と語彙を持つ「日本手話」は、手の動きや位置、表情全体で概念や意味を直接表す言語だ。
日常会話のすべてを指文字だけで伝えようとすると、一文字ずつのタイピングを声に出して読み上げるような状態になり、相手にとっては読み取りの負担が大きくなってしまう。基本は身振りや手話単語で大枠を伝え、固有名詞や人名、専門用語、手話単語が存在しない新しい外来語などをピンポイントで指文字に頼るのが自然な使い分けだ。
名前を名乗る際、苗字の漢字を一文字ずつ指文字で示し、その後に自分のニックネームや手話ネームを添える。このハイブリッドな感覚を掴むことが、スムーズなやり取りへの第一歩となる。