単独脚本体制へと移行して以降、細田守映画の歴代評価比較には顕著なグラデーションが見られます。興行的な成功を収めつつも、物語に対する批評は作品を重ねるごとに鋭さを増していきました。
『バケモノの子』では、異世界「渋天街」のビジュアルや師弟関係の熱い描写が高く評価された一方、後半における敵役・一郎彦の闇落ち描写やクジラを模したクライマックスの処理について、唐突感を指摘する声が上がりました。
続く『未来のミライ』は、カンヌ国際映画祭への出品や米国アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートなど、海外映画祭で絶賛を浴びました。しかし国内の一般観客からは、4歳の主人公くんちゃんの癇癪描写や、起承転結を排したエピソードの羅列構造に対して「感情移入しづらい」「カタルシスに欠ける」といった批判が噴出することになります。
さらに『竜とそばかすの姫』では、興行収入66億円超というメガヒットを記録。壮大な仮想空間「U」の美術と中村佳穂氏の圧巻の歌唱シーンが絶賛されたものの、クライマックスにおける児童虐待問題の解決プロセスや、女子高生が一人で夜行バスに乗って現場へ向かう展開のリアリティラインに対し、ネットの反応や考察コミュニティで激しい議論が巻き起こりました。