明治時代に酒屋として創業し、やがて時代の要請とともに大衆食堂へと舵を切った歴史を持つ。その長い歩みのなかで決定的な進化をもたらしたのが、五代目店主の菱田アキラ氏だ。有名中華料理店などで腕を磨いたバックボーンを持つ同氏の厨房での立ち振る舞いは、一般的な定食屋のそれとは一線を画す。中華仕込みの猛烈な強火と繊細な調味技術が、伝統的な和の定食メニューに見事な化学反応を起こした。
生み出される料理は、どれも輪郭がくっきりと際立っている。甘辛いタレのキレ、肉のジューシーな弾力、シャキッとした野菜の歯ごたえ。大衆食堂・定食という日常食の枠組みを守りながら、一品ごとの完成度を極限まで引き上げる手腕は、東京グルメの分厚い層のなかでも突出した輝きを放っている。