双極性障害の病型を分ける境界線は、米国精神医学会の診断基準「DSM-5」において明確に規定されています。端的に言えば、「顕著な躁状態(躁病エピソード)」が存在するか、あるいは「軽躁状態(軽躁病エピソード)」にとどまるかという点に尽きます。うつ状態の重さによって1型と2型が分かれるわけではありません。
まず双極性障害1型の躁状態は、本人の社会生活や人間関係を急速に破壊するほどの激しいエネルギーの暴発を伴います。高揚感や万能感から誇大妄想を抱き、借金をしてまで数千万円規模の投資や無謀な買い物を強行したり、夜通し歩き回ったり、怒りっぽくなって他者と激しい衝突を引き起こします。本人は「絶好調」と確信しているため病識(病気であるという自覚)が完全に欠落し、精神科病院への緊急入院が必要となるケースが頻発するのが特徴です。
一方、双極性障害2型の軽躁状態は、持続期間が「最低4日間」と定義され、1型の躁状態(最低1週間、または入院を要する)よりも短く、症状の程度もマイルドです。「やけに頭の回転が速い」「睡眠時間が3〜4時間でも疲れない」「アイデアが次々と湧いて仕事が片付く」といった状態になり、周囲からは「意欲的で優秀な人」と好意的に受け取られることさえあります。幻覚や妄想などの精神病症状は現れず、入院を要するほどの破綻には至りません。