警察官を撮影している最中に最も警戒すべき事態が、刑法95条1項に規定される公務執行妨害罪の適用です。この罪は「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者」を処罰する規定であり、公務執行妨害と撮影の境界線を正しく把握しておく必要があります。 スマートフォンを構えて撮影する行為それ自体は暴行・脅迫に該当しません。しかし、以下のような物理的接触や過度な干渉を伴うと、逮捕・送検の対象になります。
- 至近距離での突きつけ:警察官の顔面数センチまでスマートフォンを突き出し、視界を塞ぐ・レンズを顔や体に接触させる行為(暴行とみなされる)。
- 進路妨害・包囲:現場から移動しようとする警察官の前に立ちふさがり、進行を物理的に阻止する行為。
- 規制線・立ち入り禁止場所の侵入:事件現場のイエローテープ(規制線)を越えて撮影を強行する行為(警察法や軽犯罪法違反を併用されるリスク)。
警察官が「撮影をやめなさい」と口頭で制止してくる場面の多くは、職務遂行上の事実上の要望(行政指導)に過ぎず、撮影者に対して物理的妨害がない限り強制力はありません。ただし、感情的に反発して大声を上げたり手を払いのけたりすると、その瞬間に有形力の行使(暴行)とみなされ、現行犯逮捕の口実を与えてしまいます。冷静に一定の距離(最低でも1〜2メートル以上)を保ちながら、静かに構え続ける姿勢が不可欠です。