舟渡大橋をめぐる最大の盲点は、「怪異の噂がある場所」ではなく「映像クリエイターが愛してやまない構造美の聖地」であるという事実です。
西台駅から徒歩圏内に突如現れるこの巨大な鋼鉄の二層橋は、都内でも極めて珍しい景観を作り出しています。下層通路から見上げる鉄骨のシンメトリーな幾何学模様は、映像作品において「未来的な秘密通路」「サイバーパンクな地下道」「異世界への境界」を演出するのにうってつけのロケーションです。
舟渡側の橋詰には、手入れの行き届いた芝生と池が広がる「舟渡水辺公園」が整備されています。春には桜の名所として花見客を集め、休日には水生植物や野鳥を観察する家族連れで賑わう憩いの場です。不吉な事件の現場どころか、板橋区が誇る屈指のアーバンデザインスポットであるというのが、現地を訪れた者が一様に抱く真実の姿です。