日常のふとした瞬間に届く東京地震速報。画面に表示されるマグニチュードや最大震度を見て胸をなでおろす一方で、「最近、東京周辺の揺れが増えているのではないか」と疑念を抱く方は少なくありません。気象庁地震情報東京の観測アーカイブを紐解くと、関東地方の地下で何が起きているのかが明確に見えてきます。
関東平野の地下構造は、世界的に見ても極めて特殊です。陸のプレート(北米プレート)の下に南から「フィリピン海プレート」が沈み込み、さらにその下へ東から「太平洋プレート」が潜り込むという、3つのプレートが折り重なる三重衝突構造を形成しています。そのため、震源の深さによって揺れの性質が大きく異なります。
東京地震震源地として頻繁に記録されるエリアには明確な傾向があります。深さ約40〜60キロメートル付近で発生する千葉県北西部や茨城県南部の地震は、沈み込むプレート同士の境界やスラブ内(プレート内部)の破壊によるものです。一方、深さ数十キロ以浅で起きる東京湾や多摩東部の地震は、内陸の浅い活断層や地殻内部の歪みに起因します。
では、近頃の揺れは首都直下地震前兆と真相という観点からどう評価すべきなのでしょうか。地震計が捉える東京地震いまリアルタイムの微小地震活動を監視している専門機関の研究員は、定例会見で次のように指摘しています。「関東直下では常に微小なエネルギー解放が続いており、中規模の地震が数週間〜数カ月のスパンで連続して発生することは過去100年の観測史の中でも日常的なゆらぎの範囲内である」。
つまり、「地震速報が頻発しているから明日にも巨大地震が起きる」という直接の因果関係は科学的に立証されていません。しかし、この平穏な見解は決して「安全宣言」を意味しません。歪みが限界まで蓄積されている事実に変わりはなく、前兆現象の有無にかかわらず、突発的に破局的地震が発生するリスクを抱え続けています。