ネット上には「ドルお得な両替方法」を謳う情報が溢れていますが、その中には利用者をミスリードする危険な誤解が少なくありません。最も注意すべきは、「両替手数料ゼロ」「手数料無料キャンペーン」という甘い広告文句の裏側です。
為替取引の現場において、真の意味での「無料」は存在しません。金融機関が手数料をゼロと表記する場合、その多くは取引基本手数料(固定費)を無料にしているだけで、為替スプレッド(仲値からの乖離)の中に利益分を隠蔽しています。例えば、インターバンク市場が148.00円のときに「手数料無料!」と謳いながら151.00円のレートを提示していれば、実質的に1ドルあたり3円の手数料を徴収していることと同義です。3000ドルの両替では、知らぬ間に9,000円が差し引かれています。
もう一つの重大な盲点が、クレジットカード海外事務手数料の相次ぐ引き上げです。大手クレジットカード各社は2026年から2026年にかけて、海外利用時の事務処理コストを従来の1.6%〜2.2%程度から、2.20%〜3.85%へと段階的に引き上げました。この結果、3000ドル(約45万円)の決済を行った場合、カード会社に支払う事務手数料だけで約10,000円から17,000円超に達する計算になります。
「ポイント還元があるからクレジットカードが最も得」という通説は、還元率が1%前後に留まる現代のカードスペックにおいては完全に崩壊しています。事務手数料がポイント還元を大幅に上回る「逆ザヤ」が発生している現実を直視しなければなりません。