ファンが最も混乱し、同時に胸を締め付けられた核心が「基山タツヤへの改名劇」の真相です。結論から述べると、これは後付けの強引な設定変更ではなく、無印シリーズ当初から張り巡らされていた伏線の回収であり、綿密に計算された世界線の分岐でした。
すべての鍵は、養護施設「お日さま園」の創設者であり、吉良財閥のトップである吉良星二郎にあります。かつて星二郎には最愛の実の息子「吉良ヒロト」がいましたが、彼は海外留学中に何者かに殺害されるという悲劇的な死を遂げていました。最愛の息子を失い絶望の淵に突き落とされた星二郎は、自身が引き取った孤児たちの中に、亡き息子ヒロトに容姿が酷似した少年を見出します。その少年の本来の名前こそが「基山タツヤ」でした。
無印の世界線において、少年は星二郎の孤独と悲しみを癒やすため、また父と慕う星二郎の期待に応えるために、自らの本名を封印して「吉良ヒロト」という亡き息子の代名詞(身代わり)を受け入れ、「基山ヒロト」として生きていく道を選びました。エイリア学園の首領となった星二郎に最後まで従い、復讐の道具となることを受け入れたのも、星二郎への歪んだ親愛と共依存が背景にあったためです。
一方、別の可能性を描いた『アレスの天秤』および『オリオンの刻印』の世界線では、歴史の歯車が大きく異なっていました。実の息子である吉良ヒロトが海外へ渡らず、殺害されずに日本で不良少年として生存していたのです。実子が生きている以上、お日さま園の少年が身代わりになる必要は一切ありませんでした。その結果、彼は本来の生まれ持った名前である「基山タツヤ」のまま成長し、白恋中や雷門中と競い合う永世学園のキャプテンとして、本物の吉良ヒロト(ゴッドストライカー)と肩を並べてピッチに立つという新たな運命を手に入れました。