非通知機能を利用、あるいは非通知を拒否する際には、平時には気づきにくい重大なシステム上の盲点が存在します。これらを知らずに運用していると、いざという危機的な場面で深刻な不利益を被ることになりかねません。
第1の盲点は、警察(110番)や消防・救急(119番)、海上保安庁(118番)への緊急通報時における強制通知ルールです。電気通信事業法および総務省の技術基準に基づき、利用者が184を付加して発信したり端末を常時非通知に設定していたりしても、人命救助や事件捜査の緊急性から、通報を受理した司令センターには発信者の電話番号および高精度な位置情報が即座に強制開示されます。「非通知設定にしてあるから匿名で通報できる」という認識は明白な誤りです。
第2の盲点は、SMS(ショートメッセージサービス)における非通知送信の不可能性です。「電話と同じように184をつけてSMSを送れば、番号を隠してテキストメッセージを送信できるのではないか」と考える人が後を絶ちませんが、SMSは回線交換ネットワーク上で電話番号を直接の宛先・識別子としてやり取りするデータプロトコルを採用しています。そのため、非通知でメッセージを送信する仕組み自体が国際的に存在せず、本文を送信すれば受信者側に必ず送信元の電話番号が表示されます。
第3の盲点は、着信拒否設定によって生じる「重要な連絡の取りこぼし」です。地方自治体からの公的通知、大病院や休日急患診療所からの緊急連絡、警察署からの遺失物連絡、さらには就職活動の合否連絡を行う民間企業の一部では、代表電話の回線輻輳やセキュリティ規約の都合から、発信時にあえて非通知を用いているケースが依然として存在します。すべての非通知を完全に遮断してしまうと、こうした生活上極めて重要度の高い通知まで自動的に排除されてしまうリスクを覚悟しなければなりません。