事故説の背景にあるもうひとつの核心が、「声帯ポリープ」や「重病説」をめぐる疑惑です。バービーボーイズにおいて、紅一点である杏子のハスキーかつパワフルな中高音と拮抗するため、KONTAには一般的な男性ボーカリストの限界をはるかに超えるキー設定が要求され続けました。
ファンの間では長年「KONTAは声帯ポリープを患って切除手術を受けたのではないか」「喉の病気で声が出なくなったのではないか」という憶測が囁かれてきました。当時の音楽関係者の証言や特番でのインタビューを検証すると、喉の酷使によって声帯結節や慢性的な炎症を抱えていた時期があったことは確かですが、歌唱生命を完全に絶たれるような病気で倒れたという公式発表はありません。
1980年代後半のライブ映像を確認すると、ツアー後半になるにつれてKONTAの声には独特のハスキーな摩擦音が混ざり、それがかえって楽曲のスリリングな緊張感を高めていたことが分かります。しかし、人間である以上、肉体の消耗は避けられません。ソプラノサックスの激しい吹き込みは気道と声帯に強烈な空気圧をかけ続けるため、喉にかかる負荷は通常のボーカリストの数倍に達していました。
病気によって声を失ったというよりも、「バービーボーイズという奇跡のバンドのテンションを維持するために、自らの肉体と喉を極限まで削り続けた代償」が、ある時期の声質の変遷として現れていたのが実態です。