『五等分の花嫁』の完結において、読者の間で最も活発な議論を呼んだのが中野五月の結末と風太郎との関係性です。物語の冒頭、転校先の食堂で風太郎と最悪の出会いを果たし、五つ子の中で最初に上杉家へ足を踏み入れた五月は、構造上「本命の花嫁候補」と目されていました。しかし、最終的に風太郎が選んだのは四女の四葉でした。
この結末は決して五月の敗北を意味するものではありません。物語終盤、学園祭編を通じて五月自身も風太郎に対する微かな恋情(あるいは憧れや感謝が混ざり合った特別な想い)を自覚する瞬間が描かれます。しかし、彼女が選んだのは恋愛競争に身を投じることではなく、風太郎を「人生の恩師であり対等な戦友」として尊重する道でした。
ファンの間で検証が重ねられた「鐘の下のキスシーン」の真相においても、五月はその場にいながらも誓いの相手ではありませんでした。五月と風太郎の関係は、恋愛感情という単一の尺度では測れない、互いの夢を支え合い高め合う「パートナーシップ」へと昇華されたのです。恋愛至上主義になりがちなラブコメ作品において、五月が示した「夢と自立を最優先にした生き方」は、現在も極めて高い評価を得ています。