浜崎あゆみ「End roll」の誕生背景を語る上で欠かせないのが、1999年のエイベックスの破竹の勢いと、稀代のメロディメーカーである作曲者・D・A・I(長尾大)の存在です。
1999年8月11日、浜崎あゆみ通算10枚目のシングルとして世に放たれた『A』は、音楽業界の常識を覆すモノクロのジャケットと、前代未聞の「4曲A面(monochrome、too late、Trauma、End roll)」という仕様でリリースされました。その中でも「End roll」は、森永製菓「こんがりショコラ」のCMソングとして大々的にオンエアされ、夏の終わりに向けた哀愁を帯びたメロディが日本中の街角に響き渡りました。
制作陣の証言や当時の音楽雑誌の記録を辿ると、作曲を手掛けたD・A・I氏のメロディセンスが、あゆの言葉を最大限に引き出す触媒となっていたことが分かります。マイナーコードを基調としながらも、サビに向けてエモーショナルに駆け上がる旋律線。そこにアレンジャーの鈴木直人氏が施した、重厚なストリングスと乾いたアコースティックギター、疾走するデジタルビートのアンサンブルは、90年代末のエクスタシーと寂寥感を見事にパッケージングしました。
同年11月10日に発売された2ndオリジナルアルバム『LOVEppears』にも収録され、アルバム全体を締めくくるキートラックとして機能。ジャケットで上半身を髪だけで覆い、無防備な自らを晒したあゆのビジュアルとともに、「End roll」は名盤『LOVEppears』の哲学的深みを底上げする決定打となったのです。