店頭の鮮魚コーナーに並ぶハマグリのパックを見ると、多くの商品に「砂抜き済み」というシールが貼られています。多くの家庭で「買ってきてそのまま鍋やフライパンに投入できる」と受け取られがちですが、ここに最初の落とし穴が潜んでいます。
流通現場や仲卸関係者への取材によると、水産市場や加工場で施される砂抜きは、大量の貝を短時間で機械的に処理するケースが一般的です。そのため、貝殻の奥深くに残った砂や、輸送時の揺れ・温度変化によるストレスで再び体内に吸い込んでしまった砂袋の汚れまでは完全に除去しきれていない個体が一定割合で混ざり込みます。
SNSや料理コミュニティでも「パックの表記を信じてそのままお吸い物を作ったら底に砂が沈殿して台無しになった」という嘆きの声が後を絶ちません。もしはまぐり塩抜きしないとどうなるのかといえば、不快な砂の食感だけでなく、貝が体内に溜め込んだ老廃物や独特のエグみ、生臭さがそのまま煮汁へ溶け出してしまいます。繊細な出汁の香りを引き立てたい料理であるほど、購入後の「追い塩抜き」は不可欠な工程です。