2006年版『クロサギ』を語る上で欠かせないのが、複雑に絡み合うキャスト陣の相関図と、主演・山下智久を取り巻く圧倒的な演技の応酬です。
詐欺によって家族を失い、自らも詐欺師を騙す詐欺師「クロサギ」となった主人公・黒崎高志。彼と対峙する検事志望の法学部生・吉川氷柱を演じたのが堀北真希でした。前年(2005年)の『野ブタ。をプロデュース』での爆発的な共演を経て再集結した2人のコンビネーションは、単なる恋愛関係に堕ちない「法の正義」と「私刑(復讐)の罪」のせめぎ合いを見事に表現しました。
氷柱は黒崎の過酷な境遇に涙を流しながらも、「人を騙すことは絶対に許されない」と真っ向から法秩序を説き続けます。この安易に和解しない緊張感こそが、ドラマの推進力となりました。堀北真希が2017年に惜しまれつつ芸能界を引退した現在も、当時の透明感と意志の強さを宿した眼差しはファンの語り草となっています。
さらに、黒崎の仇敵であり詐欺師業界のフィクサー・桂木辰夫を演じた山崎努の存在感は破格でした。黒崎に詐欺の情報を売りながら、かつて黒崎の父親を死に追いやった元凶でもある桂木。山下智久は当時のインタビューや自著・手記で「山崎努さんとの現場は一瞬たりとも気が抜けず、役者としての覚悟を根底から叩き込まれた」と告白しています。この共演を機に2人の師弟関係は私生活や後年の作品でも続き、若き山下智久の演技力を飛躍的に引き上げる契機となりました。