納豆との食べ合わせにおいて、単なる「栄養の損失」の次元を超えて絶対に避けなければならないのが、医療機関で処方される抗血栓薬(抗凝固薬)「ワーファリン(一般名:ワルファリンカリウム)」との組み合わせです。これは日本循環器学会などの治療ガイドラインでも厳格に禁止されている明確な医療上の禁忌事項です。
ワーファリンは、血液を固める凝固因子を肝臓が生成する際に不可欠な「ビタミンK」の働きを抑えることで、血管内に危険な血栓ができるのを防ぐ薬剤です。心房細動や人工弁置換術後、深部静脈血栓症の再発予防などに広く用いられています。しかし、納豆には食品の中でも群を抜いて高濃度のビタミンK2(メナキノン-7)が含まれています。1パック(約45g)中におよそ300〜400μgものビタミンKが含まれており、これを摂取するとワーファリンの抗凝固作用が完全に打ち消され、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重篤な事態を招く危険性があります。
さらに厄介なのは、納豆に含まれる「納豆菌」が腸内に長期間定着し、腸内でも自らビタミンKを合成し続ける点です。そのため、一度納豆を大量に食べてしまうと、数日間にわたって薬効の低下が持続します。なお、近年の新規抗凝固薬である「DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)」ではビタミンKの制限が不要なケースが多いものの、自己判断は極めて危険です。抗凝固療法を受けている方は、必ず主治医や薬剤師に納豆摂取の可否を確認してください。