著者の林明子が描く世界は、子どもの目線に彻底的に寄り添っている。刊行元である福音館書店は、長年にわたり質の高い絵本を世に送り出し、日本の児童文学の土台を築いてきた。
『こん と あき』における林明子の画力は圧倒的だ。あきの柔らかい髪の毛、衣服のシワ、そして「こん」の布地が見せる質感に至るまで、克明に描き込まれている。子どもが現実と幻想の境目を自然に行き来できるのは、土台となる背景や人物の描写に嘘がないからにほかならない。妥協を許さない絵本作りを貫いてきた出版社の姿勢が、今も世界中で評価される傑作を生み出した。