甲子園の長きにわたる歴史の中で、同一校の選手と監督の両方で全国制覇を成し遂げた人物はごくわずかしか存在しない。比嘉監督はその稀有なリストに名を連ねる最高峰の指導者だ。左腕エースとして甲子園の土を踏み、白熱の投球戦を制したあの春から四半世紀以上が経過した。
彼が口にする言葉には、抽象的な論理を超えた実感が伴う。ピンチの場面でマウンドへ向かう際、投手の指先の震えや視線の揺らぎから一瞬で心理状態を読み取れるのは、自らがその極限状態を生き抜いてきたからにほかならない。「グラウンドで戦うのは選手自身」。その前提をブレさせず、背中を後押しする指導手法は、若き球児たちの潜在能力を極限まで引き出す。