杉本寺の起源は、奈良時代の高僧・行基がこの地に観音像を祀ったことに由来する。平安時代には密教の深遠な教えを掲げる天台宗の寺院となり、関東屈指の霊場として厚い信仰を集めてきた。山間にひっそりと佇む本堂は、長い年月と度重なる災禍を乗り越えてきた重厚なオーラを放っている。
特に目を引くのが、堂内に息づく仏教美術の数々だ。木彫像の荒削りながら力強い造形美や、歳月を刻んだ古い厨子の佇まいは、観る者の心を深く揺さぶる。単なる歴史的建造物という枠組みを超え、人々の切実な祈りが形となった芸術の真髄がここにはある。