リアル フェイス と は、2000年代の日本の音楽シーンを根底から揺さぶった、KAT-TUNの伝説的なデビューシングル『Real Face』を語る上で欠かせない象徴的なキーワードだ。当時の王道アイドル像を真っ向から覆すアグレッシブなハードロックサウンドと、不敵な眼差し。あれから長い年月が流れた今もなお、この楽曲が放つ強烈な引力は色褪せるどころか、新たなリスナーを巻き込んで再評価の波を広げている。
デビュー曲にしてミリオンセラーという前人未到の記録を打ち立てた背景には、単なるタレント人気に依存しない異例の制作体制と緻密なプロデュースがあった。J-POPの歴史を紐解くとき、リアル フェイス と は単なるメガヒット曲という枠を超え、平成から現在へと続く音楽産業のパラダイムシフトを決定づけた一大事件そのものとして語り継がれている。
松本孝弘とスガシカオが仕掛けた「裏設定」と制作秘話
この楽曲を唯一無二のモンスターチューンに仕立て上げた最大の要因は、B'zのギタリスト・松本孝弘が作曲を手掛け、シンガーソングライターのスガシカオが作詞を担当したという奇跡的なコラボレーションにある。当時、ジャニーズJr.として異例の東京ドーム公演を成功させていたグループのデビューにあたり、制作陣が求めたのは「優等生的なポップス」ではなく「本物のロック」だった。
松本が提示したギターリフは、妥協を一切排したヘヴィかつドライブ感あふれるものだった。そこにスガシカオが乗せたのが、〈ギリギリでいつも生きていたいから〉というあまりにも有名なフレーズである。スガは後に、当時のメンバーが漂わせていた危うさや飢餓感、予定調和を嫌う反骨精神をそのまま言葉に落とし込んだと明かしている。歌詞カードの行間に仕組まれたのは、綺麗事ばかりを歌う既存のアイドル像への宣戦布告という裏設定だった。
亀梨和也の「舌打ち」が切り開いた新しいアイドル像
サウンドの重厚さに負けない強烈なフックとなったのが、楽曲のブレイク部分で亀梨和也が放つ「舌打ち」のアドリブである。通常、アイドルポップスにおいて舌打ちのような威嚇的とも取れるジェスチャーはタブー視されてきた。しかし、この一瞬の静寂と摩擦音が楽曲のドラマ性を爆発させた。
優雅さや愛嬌を売りにするのではなく、不良っぽさと剥き出しのパッションを武器にする。このパフォーマンスは瞬く間に全国の若者の心を掴み、社会現象へと発展した。ルールに従うのではなく、自分たちの手で新たなルールを作る。そんな時代精神を象徴するアクションだった。