巨大コングロマリットであるLVMHが率いるラグジュアリー市場の革新は、今や遠いパリのサロンの中だけにとどまらない。映画『プラダを着た悪魔』で描かれたような、オートクチュールが頂点に君臨し大衆へと一方的に降り注ぐピラミッド型の権力構造は過去のものとなった。今起きているのは、ストリートカルチャーと伝統的メゾンが双方向に対話し、日常着の概念そのものを再定義するダイナミックな地殻変動だ。
この潮流をリアルな生活空間へ落とし込む先頭に立つのが、日本発のグローバルプレイヤーであるファーストリテイリングだ。機能性とミニマリズムを高次元で融合させたプロダクトは、高級メゾンが提案する前衛性と拮抗するほどの存在感を獲得した。価格の多寡ではなく、思想と編集力で服を選ぶ時代。現代のアパレル産業は、単なる衣服の製造業からライフスタイルそのものを設計する文化産業へと明確な脱皮を遂げている。