打ち上げから四半世紀以上が経過した現在、ハッブル宇宙望遠鏡の運用体制にも重大な技術的転換が訪れています。天文学ファンが注目するハッブル宇宙望遠鏡最新ニュースとして外せないのが、望遠鏡の姿勢制御を担う「ジャイロスコープ」の運用モード変更です。
ハッブルには姿勢を正確に保つためのジャイロが複数搭載されていましたが、経年劣化により稼働可能なユニットが減少しました。NASAは望遠鏡の寿命を可能な限り引き延ばすため、従来の3基同時稼働モードから、単一ジャイロ運用モード(1-gyro mode)へと移行する運用の最適化を実施しました。この運用変更により、望遠鏡の方向転換に要する時間はやや長くなったものの、科学観測の精度そのものは維持されており、残されたバックアップジャイロを温存しながら、2030年代初頭まで観測活動を継続できる見通しが立っています。
老兵と呼ばれるハッブルですが、その観測能力は依然として第一線にあります。赤外線に特化したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が遠方宇宙の黎明期を解き明かす一方で、ハッブルは貴重な紫外線・可視光観測を一手に引き受けています。両望遠鏡が同じ天体を異なる波長で同時に捉える「協調観測」によって、かつてない多角的な天体物理データが次々と生み出されており、ハッブルが捉えるバースデーフォトのアーカイブもまた、現在進行形で新たな科学の息吹を宿し続けています。