作品を語る上で避けて通れないのが、キャラクターの「声」が持つ圧倒的な存在感だ。30年以上にわたり主人公・まる子の声を担当し、その独特のハスキーボイスと絶妙な脱力感で国民的アイコンへと押し上げたTARAKOの功績は計り知れない。彼女の声は単なる記号ではなく、まる子という生身の少女の呼吸そのものだった。
その偉大な足跡を受け継いだのが菊池こころだ。プレッシャーが渦巻く中での交代劇であったが、彼女が吹き込んだ新たなまる子の声は、長年のファンを唸らせるに十分な敬意とみずみずしさに満ちていた。ものまねに終始することなく、キャラクターの芯にある茶目っ気と哀愁を捉え直した演技。日本アニメーションとフジテレビジョンが選び抜いたこの継承は、長期シリーズにおける声優交代の極めて幸福な成功例として、アニメ史に刻まれることとなった。