ミルフィーユカツ作りで最も頻発するトラブルが「加熱中のチーズ流出」です。高温の揚げ油やフライパンに溶け出たチーズが触れると、激しい油跳ねを引き起こすだけでなく、焦げ付きによる苦味を生み、仕上がりを台無しにしてしまいます。この現象を物理的に封じ込めるには、確実な密閉構造を作る「二重トラップ工法」が不可欠です。
まず、プロセスチーズやピザ用チーズをそのまま肉に載せるのではなく、大葉の内側に完全に包み込む配置をとります。大葉を「防壁」として機能させ、熱で液状化したチーズが直接豚肉の隙間から漏れ出すのを防ぎます。さらに、豚肉を重ねる際は上下左右の端に最低1cm以上の肉だけの余白を残し、薄力粉を軽く叩いて肉同士を圧着させます。この糊代部分が加熱によってタンパク質の熱変性を起こし、強固なシールドとなって内部を密閉します。
また、味の決め手となる豚肉大葉チーズフライの下味にも科学的な注意点があります。豚肉に直接塩を振ってから長時間放置すると、浸透圧によって肉内部の水分が外へ流出し、肉質がパサつくだけでなく衣が水分を吸って軟弱化します。塩・コショウは衣付けの直前に振るか、肉の内側ではなくバッター液や外側の衣側に風味を移す設計にすることが、ジューシーな肉汁を閉じ込める決定的な裏技です。